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■資源ごみの持ち去り行為について
◎松原成文
   資源ごみの持ち去り行為についてお伺いいたします。2019年3月の環境省の発表では、川崎市は、2005年に1人1日当たりのごみの排出量が1,114グラムで、政令市で第4位でしたが、2017年には280グラム減の834グラムで、政令市で第1位になったということで、ごみの排出の少なさでは日本屈指のごみ処理先進都市とも言われているところでございます。そこで、空き缶の持ち去り等々について少しお伺いをしたいと思いますが、過去3年間の空き缶による本市の収入は、3年間の合計が1万9,865トン、8億2,000万円の財産収入があったとお聞きしてございます。  ディスプレーをお願いいたします。これは平成19年度から平成23年度の5年間の持ち去りの状況で、合計で1,544トン持ち去られ、推計でありますが金額は2億1,500万円、これは年間ですと約4,300万円の持ち去りがあるということでございます。次に、最近5年間の持ち去りの状況ですが、総量で1,554トン、総量はあまり変わらないのですが、ディスプレーの資料は人件費を差し引いた額ということですので、人件費を差し引かない分ですと、5年間の合計で持ち出し金額は2億3,740万円、年平均で約4,700万円が持ち去られているとお聞きしてございますが、環境局長、これに間違いないでしょうか。
◆環境局長(斉藤浩二)
 そのとおりでございます。以上でございます。
◎松原成文
 ディスプレーを見ていただくと、これはごみを収集しているところです。これから出発するのかわかりませんけれども、そういう状況であります。これも多摩川の土手でこういう状況が見られるということであります。これは、雨の中、かっぱを着て颯爽と運んでいるというふうな状況であります。これは普通の公道を走っているという状況でありますが、これについて環境局長、何か御感想がありましたらお願いいたします。
◆環境局長(斉藤浩二)
 行為者の安全性についての御質問でございますが、神奈川県道路交通法施行細則では、長さや幅が積載装置の長さや幅に0.3メートルを加えたものを超えないこと、高さについては2メートルから積載する場所の高さを減じたもの、重量については30キログラムを超えないことと規定されております。こうした規定に違反する運搬については安全性に欠くものと認識しているところでございますので、交通安全の観点から、交通管理者との連携について検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
◎松原成文
 環境局長、ありがとうございました。健康福祉局長、これについて何か御感想がありましたらお願いいたします。
◆健康福祉局長(北篤彦)
 安全性についての御質問でございますが、国が平成28年10月に実施したホームレスの実態に関する全国調査によりますと、ホームレスが収入を得る手段の多くは廃品回収であり、その大部分は空き缶回収であるものですが、自転車に大量の荷物を積載して通行することは、車両の往来の妨げになる等の安全上の問題があるものと考えております。以上でございます。
◎松原成文
 こういうことについて市民からの苦情や情報、要望等がありましたら、環境局長、お願いいたします。
◆環境局長(斉藤浩二)
 苦情等についての御質問でございますが、市民からの苦情は、ここ数年、年間30件程度寄せられているところでございまして、その内容といたしましては、空き缶を潰す際の音やごみの散乱、パトロールの要望などについてでございます。以上でございます。
◎松原成文
 ありがとうございました。この問題については過去にも質問させていただきましたが、以前の質問の答弁は、市民や収集職員からの情報に基づき、悪質なケースについては指導を行っているということでありましたけれども、悪質なケース及び指導の内容、その後の実態はどのようなものなのか、お伺いいたします。
◆環境局長(斉藤浩二)
 悪質なケースについての御質問でございますが、自動車を用いた持ち去り行為など、悪質なケースにつきましては、市民や生活環境事業所の収集職員の目撃情報等に基づき、当該行為者に対し直接指導を行ってきたところでございます。現状では、こうした対応により、悪質な持ち去りについてはほぼ見られなくなっております。以上でございます。
◎松原成文
 悪質な行為というのは自動車による持ち出しということなんですけれども、例えばこの自転車による持ち出しはどのようにお考えでしょうか。
◆環境局長(斉藤浩二)
 自転車による持ち出しについての御質問でございますけれども、先ほど答弁させていただきましたが、安全性に欠ける部分、また、市の所有、市民の排出されたものにつきまして持ち去る行為ということですので、非常によくない行為と認識しているところでございます。以上でございます。
◎松原成文
 ありがとうございました。本市では集積場所に排出されたアルミ缶等の所有権はどこにあるのでしょうか、お聞かせください。
◆環境局長(斉藤浩二)
 取り組みの内容についての御質問でございますが、本市における持ち去り行為はホームレスによるものが多いといった社会背景もあり、持ち去り行為に対し法的な規制を行うことはホームレスの方々の生活に大きな影響を与える可能性もあり、慎重な対応に努めてきたところでございます。しかしながら、空き缶を潰す音やごみの散乱など、生活環境の保全上支障が生じるおそれがございますので、苦情がありました集積所へのポスターの掲出やパトロール、周辺住民への排出ルール・マナーの遵守の呼びかけなどの対応をしてきたところでございます。また、川崎市環境審議会の中で個別課題の一つとして、持ち去り対策に関する意見を伺ったほか、実態把握のため、廃棄物減量指導員へのアンケートの実施などの取り組みを行ってきたところでございます。以上でございます。
◎松原成文
 もう一度お聞きしますけれども、排出されたごみの所有権については、市民にあるのか、川崎市にあるのか、どちらにあるとお考えなのか、改めてお伺いをいたします。
◆環境局長(斉藤浩二)
 集積所に出された資源物の所有権についての御質問でございますが、本市におきましてはごみの減量と資源の有効利用を図るため、資源物の分別収集を行っており、市民の皆様に御協力いただいております。こうした市の目的と市民の皆様の御協力の実態を考えますと、集積所に排出されたアルミ缶は、市が収集するまでの間につきましては排出者である市民に、また、収集した以降は市に所有権が帰属するものと考えております。以上でございます。
◎松原成文
 ありがとうございました。過去の答弁で、個人の持ち去りは社会的な背景が大きく影響しているので、慎重な対応に努めてきたところでありますとのことでしたが、社会的な影響と慎重な対応について、具体的な取り組み内容についてお伺いいたします。
◆環境局長(斉藤浩二)
 具体的内容についての御質問でございますが、当時の時代背景といたしましては、景気の低迷や終身雇用制度の見直しなど、社会経済環境の変化がございました。また、本市における持ち去り行為はホームレスによるものが多いといった社会的な背景もあり、持ち去り行為に対し、法的な規制を行うことはホームレスの方々の生活に大きな影響を与える可能性もあり、慎重な対応に努めてきたところでございます。しかしながら、空き缶を潰す音やごみの散乱など、生活環境の保全上支障が生じるおそれがございますので、苦情がありました集積所へのポスター掲出やパトロール、周辺住民への排出ルール・マナーの遵守の呼びかけなどの対応をしてきたところでございます。また、川崎市環境審議会の中で個別課題の一つとして、持ち去り対策に関する意見を伺ったほか、実態把握のため、廃棄物減量指導員へのアンケートの実施などの取り組みを行ってきたところでございます。以上でございます。
◎松原成文
 ありがとうございました。平成26年10月の川崎市環境審議会で、委員の方から次のような発言がありました。余り冷たい目で見てはいけない、生活の糧になっている、福祉の問題も絡んでいる、地域の安全・安心上の問題が大きい等の意見からも、福祉の分野の観点を考慮に入れた検討を行っていくべきとの意見でしたが、これについての検討結果を健康福祉局長にお伺いいたします。
◆健康福祉局長(北篤彦)
 川崎市環境審議会についての御質問でございますが、審議会における委員の皆様の御意見等、審議内容を共有させていただき、資源物の持ち去り行為を行う者が抱える社会的な背景を踏まえ、自立に向けた取り組みを進める観点から、関係局と協議を行ったものでございます。以上でございます。
◎松原成文
 ありがとうございました。それともう一つ、平成28年4月の関係局との協議のことでありますが、協議において、例えば持ち去りを規制する条例を制定した場合のホームレスへの影響についての相談ということがあったのですが、その相談結果の内容、それについての見解を健康福祉局長にお伺いいたします。
◆健康福祉局長(北篤彦)
 関係局との協議についての御質問でございますが、関係局との同行調査等により、廃品回収がその大きな収入手段となっていること等、市内ホームレスの現状について確認をしたところでございまして、こうした方々の自立に向けた取り組みを行ってきたところでございます。具体的には、市内のホームレスに対して巡回相談員がそれぞれの居場所を定期的に訪問しており、その際、持ち去り等の場面に遭遇する場合もありますが、そのアウトリーチを行う中で、生活実態の把握、就労や健康など、自立に向けた相談活動を行うなど、それぞれのニーズに合わせ、生活保護制度やホームレス自立支援センターの案内を行っているものでございまして、引き続きホームレスの自立支援に向けた取り組みを進めてまいります。以上でございます。
◎松原成文
 まさに、ホームレスの自立支援ということで、不法行為とまでは言いませんけれども、こういうことをホームレスが生活の糧にしているということについては少し問題があるのではないかと思いますので、そういった自立支援の指導の中で、こういう行為をなるべくやらないで、しっかりとした仕事について生活の糧を得ていただきたい、こういう指導もしっかりしていただきたいと思います。また、同じく平成28年4月の関係局との協議で、持ち去りによる嫌悪感、騒音、集積場の散乱、これらについては個人の主観によるところが大きく影響しているので、条例の制定の根拠にするのは弱いというようなことがございました。また、本市の状況を踏まえると、条例制定以前に持ち去り防止策の強化など、本市のできることは全て対応すべきであるとの協議がなされましたが、アルミ缶持ち去りに関して、今後、本市としてどのような対応、対策をとるつもりなのか、お考えを環境局長にお伺いいたします。
◆環境局長(斉藤浩二)
 今後の対応についての御質問でございますが、本市における持ち去り行為につきましては、個人やホームレスによるものが多数を占めている状況にあることから、そうした状況を考慮した対応を行ってきたところでございます。しかしながら、持ち去り行為に対し不安感や嫌悪感があるという御意見もいただいており、また、集積所の散乱や騒音などは問題となりますので、これまでの取り組みとともに、地域住民からの情報を積極的に収集し、目撃情報のあった集積所への集中的パトロールの実施や関係局と連携した持ち去り行為者への声かけなど、取り組みを強化してまいります。また、ごみの減量と資源の有効利用の推進に向けて、条例化など有効な方策を検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
◎松原成文
 ありがとうございました。市民の皆様にはごみの減量や資源物の適正処理に御理解をいただいているということでありまして、環境先進都市というようなことも言われていると思います。今の御答弁で、ごみの減量と資源の有効利用の推進に向け、条例化など有効な方策を検討してまいりたいという御答弁をいただきました。どうぞ条例化など、有効な方策がとられることを御期待申し上げまして、質問を終わります。