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■川崎港に於けるホテルシップ運営について
 近年のオリンピックでは宿泊施設としてホテルシップ(大型クルーズ船をホテルとして利用する)が多く活用されています。2010年のバンクーバーオリンピックでは延べ19万人が宿泊し、その必要性が高まっています。2020東京オリンピックパラリンピック競技大会の期間中には多くの選手や大会関係者、観光客が首都圏を訪れる事が見込まれる事から、宿泊施設不足を解消する為にも、ホテルシップの有効活用が期待されています。特に川崎港は東京湾に面し、北の東京港、南の横浜港の中心にあり、周辺には東京湾岸道路やアクアライン等の広域交通網が整備されており、東京国際空港にも近く、川崎の魅力を国内外に発信する絶好の機会として寄与するものと考えられます。

 平成30年3月に国主催の「クルーズ船のホテルとしての活用に関する分科会」に於いて、川崎港がホテルシップの可能性がある埠頭の一つに提示された事を受けクルーズ船社等と意見交換が行われました。平成30年12月に川崎港に於けるホテルシップを実施するにあたり、受け入れ可能な船舶の大きさの上限、受け入れ期間、費用負担の考え方等の基本的な条件を公表し、その結果、平成31年3月に「ゲンティン香港」との間に覚書が締結されました。「ゲンティン香港」は本社を香港に置くアジア最大のクルーズ会社であり、昨年設立から25年を迎え、国内では那覇、博多、横浜などへ寄港しており、平成30年の日本への寄港回数が外国クルーズ船社では2番目に多く、日本でも馴染みのあるクルーズ会社であります。

 川崎港に於けるホテルシップの停泊場所は東扇島9号及び8号岸壁の一部が予定されており、安全確保のためフェンスの設置や給水施設などのハード面の整備費用として約7千7百万円、宿泊客の動線やバス等の車輌待機場所の確保をはじめとする対策費用として約4千3百万円が今年度予算として確保されています。川崎市への収入については、川崎港湾施設条例に基づき停泊期間を18日として試算すると、岸壁使用料が約1千8百万円、入港料約20万円、計画使用量に対する給水使用料として約1千5百万円が想定されています。また市内への経済効果として、ホテルシップでは数千人の宿泊客が利用する為、宿泊客、船員、乗組員の消費活動に加え、食材や燃料の確保などホテルシップ運営のための事業活動等による効果が期待されています。

 市民意識の醸成を図る為、ホテルシップに併せて大会に関連するイベントの開催、市民参加による歓迎セレモニーや工夫を凝らした川崎ならではのおもてなしの実施、クルーズ船内見学会の開催等について検討が行われています。今後もクルーズ船誘致に対する市民の機運を高めて参ります。