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■幼児教育・保育の無償化等財政措置の拡充について
 近年における社会及び経済情勢の変化に伴い、川崎市をはじめとする指定都市では、社会保障制度の充実向上、生活環境の整備、都市機能の充実等の財政需要が増加の一途をたどっています。

 本市ではこのような状況の中、徹底した行財政改革を実施しているものの、財政需要に対して税制上充分な措置がなされていないことに加え、地方法人税の影響により都市の税源の確保は非常に厳しい状況となっています。また、地震や豪雨など大規模災害が続く中、その復旧と復興の取組みの他、防災・減災対策に多額の費用が見込まれるなど財政運営は極めて厳しくなっています。指定都市は一億総活躍社会の実現に向け日本経済再生の原動力となり、少子・高齢化対策、都市の活性化、社会資本の長寿命化等の重要な施策を積極的に推進して行く事が求められています。

 さて、政府が5月末に決めた来年10月からの幼児教育・保育無償化についての政府方針が示されました。具体的には、3歳から5歳児は所得に関係なく全世帯、0歳から2歳児は住民税非課税世帯が対象で、認可施設については全額無料とし、認可外施設は補助額に上限を設けた上で、ベビーシッターなどを含め幅広く対象とするといった内容であります。

 この政府方針についての川崎市の対応は全面的に賛成ではなく「どちらかといえば賛成」の立場です。全面的に賛成できない理由として、自治体の業務が増え対応できるか不安であり、実施の際現場で混乱を招く恐れがあるとしています。また、自治体で幼児教育・保育の無償化が保育ニーズに与える影響については保育施設入所を希望する人が増えると思うとし、本市での待機児童数に与える影響については分からないとの事です。さらにこれらの無償化に備え、保育施設の施設計画を見直す対応については検討を含めまだしていないとしていますが、他都市についても同様ではないかと推察されます。併せて、実施の際には現場で混乱を招く恐れがあるので地方自治体の財政負担が生じないよう国において適切な財政措置を講じる事、私学助成については財政力指数による影響がないようにしてもらいたいとの意見を述べています。(以上は共同通信の質問に対しての本市の回答を参照し記載しました)

 8月16日、福田市長と共に私は文部科学省に於いて丹羽秀樹文部科学副大臣と面会し、幼児教育・保育無償化について「地方公共団体に負担を生じさせることなく国の責任において着実に推進する事、また待機児童対策をはじめ、子ども、子育て支援制度の充実、総合的な放課後児童対策、子育て家庭の経済負担の軽減、児童虐待防止対策や社会養護の充実、子どもの貧困対策の推進のための財政措置の充実、学校・幼稚園における働き方改革の推進、義務教育施設等の整備推進」について意見交換を行い、来年度の国の施策や予算に反映していただけるよう要請してまいりました。