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■日本国憲法について広く国民的議論の喚起を!!
 言うまでもなく、憲法は国家の最高法でありますが、その改憲にあたっては衆参両議院の3分の2の賛成を発動要件とし、国民投票でその是非を判断するとされています。改善にあたっては、その選択権は国民にあり手続きについても民主的に保障されています。日本国憲法は昨年の5月3日に施行70周年を迎えました。この間、国民主権・基本的人権の尊重・平和主義など国民の福祉の向上の発展に大きな役割を果たすと共に、三つの基本原理は国民の間に定着しており、この三原則は現憲法の根幹をなすものであり、今後も堅持されなければなりません。

 一方、70年の歴史の中で我が国が直面する国内外の現実に対応し、国際社会の中で適応するため憲法を改正すべきとする意見と、憲法9条に象徴されるように「平和憲法」として護持すべきであるとの意見があり、国論は分かれています。特に自衛隊の様々な活動は多くの国民に支持されていますが、他方、自衛隊については合憲とする憲法学者は少なく、中学校の公民の教科書の記述では、▽自衛隊は憲法9条の考え方に反しているのではないかという意見もあります(東京書籍)▽国民の中には自衛隊の持つ装備が「自衛のための最少限度の実力」を超えているものだとして自衛隊は憲法に違反しているという主張もあります(教育出版)▽自衛隊は憲法に違反するという学説や判例があり(清水書院)▽自衛隊が憲法9条や平和主義に反するのではないかという議論もありますが(帝国書院)▽第9条は武力によらない自衛権だけを認めているとか、自衛隊の装備は自衛のための最小限の実力をこえているなどの理由から自衛隊は憲法に違反しているのではないかという指摘があります(日本文教出版)▽世界的にも有数の実力を備えた自衛隊を「戦力に至らない」とする政府の憲法解釈には批判も多くあります。また、自衛隊は憲法違反であるから解散すべきという主張もあります(自由社)▽政府はここでいう戦争とは「他国に侵攻する攻撃」をさし、「自国を守る最低限度の戦闘」までも禁止しているのではなく自衛のための最少限度の実力を持つことは憲法上許されると解釈し、自衛隊を憲法9条に違反していないものと考えています(育鵬社)。

 以上、中学校公民の教科書7社中6社が違憲論に触れています。因みに、川崎市では教育出版の教科書が採択されています。川崎市議会では平成27年12月14日、自民・公明・民主みらいの3会派団長名による議員提出の意見案として正副議長に申し入れがあり、翌12月15日の本会議で賛成多数(賛成47、反対12)で意見書案「日本国憲法の三原則の下、国会における憲法論議の推進と国民的議論の喚起を求める意見書案」を可決し、衆参両議長・内閣総理大臣・総務大臣・法務大臣宛てに意見書を提出しています。