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■地方税財源の充実確保について(II)
 大正13年に人口約5万人で誕生した川崎市は昨年4月に人口が150万人となり、本年4月には151万人を超え現在も伸び続けています。しかし、今後少子化と高齢化、人口減少が進み自治体の税収入の増加が見込まれない中、市民ニーズにきめ細かく対応するため、国と地方の役割分担を明確にし、地方が担うことができる分野については国の関与を廃止すると共に財政面については国から地方への税源移譲をすすめる事が不可欠です。国庫補助負担金は、国が担うべき分野については必要な経費について全額を国が負担すると共に、地方が担うべき分野については国庫補助負担金を廃止し所要額を全額税源移譲すべきです。

 財政力の格差については法人住民税などの地方税収を減額する事なく、国税からの税額移譲等の地方税財源の拡充の中で地方交付なども含め一体的に行う是正が必要であります。政令指定都市(全国で20都市)は事務配分の特例により道府県の事務権限が移譲されていますが、必要な財源については税制上の措置が不十分であります。事務配分の特例に対応した財政運営が行なわれるよう、個人・法人所得税及び消費・流通課税に係る国・道府県からの税源移譲により大都市の税源の充実を図るべきであります。

 本市は早くから産業政策をすすめ社会資本整備に取り組んだ結果、日本有数の元気な都市となっています。さらに本市は指定都市の中で唯一、普通交付税は「不交付団体」となっており、財政が豊かであるとのイメージがありますが、財政対策債の発行方式など地方財政制度の変更に伴い一般財源の総額が伸び悩む一方で、少子高齢化により福祉医療費等の歳出が増加しており徐々に収入不足が拡大しつつあります。

 本市の財政力指数は別表のとおり、平成28年度は0・999、平成29年度は1・001で、普通交付税の交付・不交付のボーダーライン上にあり、収入不足に対応するため平成24年度から臨時的に減債基金からの借入れを行っており、決して財政が豊かであると言う事はありません。さらに次年度の平成31年度の国の予算編成の考え方では、財政力に応じた国庫支出金等の割り落とし等により財政指数が1・0以上の場合、保育対策総合支援事業費補助金が現行の3分の2から2分の1となり約3億円が減収となる見込みで、その他保育所等整備交付金・幼稚園就園奨励費補助金・学校施設環境改善交付金等が軒並み減収となり、本市に於いてはその総額は約10億円?20億円の影響が出ると見込まれています。財政力指数に基づく国庫支出金の割り落としには断固反対してまいります。今後も厳しい財政状況が続く中、市民生活を守り緊張感を持って効率的で効果的な市政運営に取り組んでまいります。