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■「顔見えぬ」川崎市教育委員会について
 平成23年10月、滋賀県大津市内の市立中学校の当時2年生の男子生徒が「いじめ」を苦に自宅で自殺するに至った事件がありました。「大津いじめ自殺事件」と呼ばれています。この事件で教育行政の問題点が露呈しました。一言で言えば責任と権限が一致せず問題が起きても責任を取る人がいない。その結果出てきたのが「隠ぺい体質」、「行政の無責任」、「ことなかれ主義」などであります。
 元来教育行政の責任者は教育委員でありますが、教育委員がその責任を果たしていない。実質的には常勤の教育長に権限が集中してしまっているのが現状と考えています。「事務局の提出する案を追認するだけで実質的な意思決定を行っていない」と言っては言い過ぎでしょうか。この寄稿を読まれている皆様は、川崎市の教育委員は何人で構成されているのかご存知でしょうか?教育委員の任期は何年でしょうか?教育委員の選任は誰がどのように行うのでしょうか?川崎市の教育委員の氏名を何人ご存知でしょうか?教育委員に会った事はありますか?月に何回くらい会議を行っているのか知っていますか?教育委員の具体的な職務権限を知っていますか?いかがですか。
 そもそも教育委員は終戦後、アメリカ教育使節団の勧告により設置されたものであり、教育の民主化と中立化を意図したものでした。本来アメリカ国内で行われていたように自治体首長から独立し、公選職で予算や条例の送付権もありました。しかし首長と対立する勢力から教育委員への立候補があったり、教職員組合による選挙活動など様々な問題が発生したため、これまでの公選制から首長選任へと変更される事となり、現在に至っております。

 川崎市の教育委員は現在6名で任期は4年間です。教育委員の選任は市長が行います。選任基準は、人物が高潔で教育・学術及び文化に関して見識を有する者となっています。市長が選任し議案として議会に提出し、議場で質議が行われ同意する事になっています。しかし議員に提示される資料は氏名・住所・略歴が書かれている用紙が一枚だけであり、教育への思いも分からず、面接する事もありません。写真も無いので顔も分かりません。これでは教育に対する見識や情熱を確認する事もできません。教育委員に就任するには議会の過半数の同意が必要です。当然、私たち議会も人格が高潔、教育・学術・文化に関して見識を有する要件を満たしているかを判断しなければなりませんが、それを判断する材料が不足している訳であります。結果として教育に対する思いや情熱について何一つ審査されないまま教育委員に就任する事になります。