議会リポートに戻る
■人権教育推進事業について
◆松原成文
  小学校の国語の4年生の下巻に採録されている初雪のふる日という文学 作品について教育委員会はどのように評価されているのかお伺いいたします。
◎渡邊直美教育長
  文学作品についての御質問でございますが、教育委員会では、教科書 の中の文学作品は言語能力を育むための教材としての観点で評価しているところでござい ます。現在使用している教科書は、小学校学習指導要領国語に基づいた観点に沿って、小 学校4年生としての言語能力の育成が図られる教材であると考えております。以上でござ います。
◆松原成文
  ありがとうございます。この初雪のふる日の文学作品としての議論をす るつもりはございませんけれども、初雪のふる日の記述の一部に人権教育的な観点から問 題となりかねない記述があると私は考えておりますけれども、お伺いいたします。
◎渡邊直美教育長
  初雪のふる日についての御質問でございますが、小学校学習指導要領 国語の観点といたしましては、文章を読んで考えたことを発表し合い、一人一人の感じ方 について違いのあることに気づくことと示されているところでございます。文学作品を読 んだ子どもは、人それぞれ、さまざまな感じ方をするものでございますが、初雪のふる日 は、物語を読み終えたとき心に残る感じはどこから来るのか、それぞれの感じ方の違いを 大切にし、お互いに話し合いを通して学びを深めていくという、国語科の狙いに沿った教 材であると考えているところでございます。以上でございます。
◆松原成文
  そうですね。子どもたちの感じ方を大事にするということは大事であり ますけれども、実はこの作品には、かた足、かた足、両足、かた足というフレーズが2回、 かた足、両足、とんとんとんが7回、かた足という文言が1回出てきます。さらに、読後 感をもとに作品のひみつをさぐろうと題されている、いわゆる学習の手引きの女の子の発 言でありますけれども、かた足、両足、とんとんとんという歌が繰り返し出てきた、何度 も出てくると追いかけられているみたいな気持ちになって怖さが増してくるとまで書かれ ています。作品の中で、かた足、かた足を繰り返し読んだ上で、読んだ内容を深めたり振 り返ったりする学習の手引きでさらに追い打ちをかけるように扱っていることになりま す。特に下肢に何らかの不自由あるいは障害を持つ児童がどのように感じるか、私は気に なってなりません。採択手続の過程でこのような懸念は出されなかったのかお伺いいたし ます。
◎渡邊直美教育長
  文学作品の表現についての御質問でございますが、文言につきまして は、言葉の響き方やイメージにより、子どもによって多様な感じ方がありますので、学習 指導する上で場面の様子をあらわす言葉や表現に着目したり、配慮したりすることは必要 であると考えております。御指摘の箇所は昔遊びの石けりをしている場面でございまして、 飛びはねている様子を表現しているものでございまして、採択の手続の過程において特段 の懸念は示されなかったところでございます。以上でございます。
◆松原成文
  人権教育の推進都市を標榜している本市の教科書採択では、この人権教 育的な観点は最も大切にすべき選定の観点の一つとすべきであり、教科書、特に義務教育 の教科書は、多様な児童生徒が集う学校で使われる最も大切で中心に置かれる教育のツー ルであると考えますが、伺います。また、多様な児童生徒全ての子どもにとって、特に社 会的弱者となってしまいがちな児童生徒には特段な配慮がなされるべきと思いますが、お 伺いいたします。
◎渡邊直美教育長
    教科書の重要性と児童生徒への配慮についての御質問でございます が、子どもたち一人一人の人権を大切にした学びの場をつくるためには、子どもたちの多 様な感性を広げ、一人一人の学習への意欲や理解の伸長と能力の向上を図る授業を構築す ることが重要であると考えております。そのような意味で、教科書は子どもたちの学びの 場をつくる大切な学習ツールとして捉えているところでございます。また、学校ではさま ざまな子どもたちが学んでおりますので、一人一人の子どもたちが抱える状況や生活背景 などに常に気を配り、子どもたちが安心して学校生活を送るように配慮することは、教師 にとって大切な務めであると認識しております。特に授業におきまして、特定の児童生徒 の気持ちに負担をかけることのないよう、指導内容や指導方法には十分に配慮して、丁寧 に学習が進められるよう努めることが大切であると考えているところでございます。以上 でございます。
◆松原成文
  公教育、義務教育の場としての学校で使用される教科書は、学習のツー ルであると同時に、教育のツールであるということを再度強調いたしまして、次の質問に いたします。ありがとうございました。