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■教科書採択事務経費について
◆松原成文
 全国の状況 を見ますと、20政令指定都市あるんですけれども、ほとんどの地区が1採択地区となって おります。平成24年度使用開始の中学校教科書の採択では、大阪市は8採択地区に分かれ ていて、8採択ブロックで採択が行われたんですが、昨年の12月、大阪市は全市を1採択 地区とする変更の方針を打ち出しました。また本年の2月には、教育委員会会議で1採択 地区へとの変更を決定いたしました。また3月6日には、大阪府の教育委員会で告示もさ れたということでございます。全国20政令指定都市がありますけれども、本市を除く19政 令指定都市では全部が1採択地区となっておるわけであります。現在本市では1から4採 択地区に分かれておりますが、この採択地区を変更する予定はあるのか、教育長にお伺い いたします。
◎渡邊直美教育長
  教科書の採択についての御質問でございますが、教科書の採択地区は、 都道府県の教育委員会が義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律に基づき、 指定都市の区の区域またはその区域をあわせた地域に、採択地区を設定しなければならな いと定められており、採択地区を設定し、または変更しようとするときは、あらかじめ市 町村の教育委員会の意見を聞かなければならないとも規定されております。また、地方教 育行政の組織及び運営に関する法律では、教科書その他の教材の取り扱いに関することは 教育委員会の権限と定められておりますので、採択地区の適正規模化を含む教科書の採択 について、今後、教育委員会で協議してまいりたいと考えております。以上でございます。
◆松原成文
 ありがとうございます。今後検討するということでありますから、これ までは検討されなかったというふうに私は理解をさせていただきます。 平成14年の教科書採択から小中学校それぞれ、それまでの3採択地区から4採択地区に 変わったということでありますけれども、分割した理由についてお伺いいたします。
◎渡邊直美教育長
  採択地区数の変更についての御質問でございますが、昭和47年の政令 指定都市移行の際には、市内各地域の地理的、文化的諸条件を考慮しつつ総合的に判断し て、それまでの全市1地区から、川崎区を第1地区、幸区、中原区を第2地区、当時の高 津区、多摩区を第3地区とし、3採択地区と定めておりました。その後、都市化の進展に よる人口の増減や産業構造の変化等により、各採択地区における人口、学校数の不均衡が 生じ、昭和57年の高津区と多摩区の分区から各採択地区の不均衡が拡大し続けたことを踏 まえ、平成13年に今までの第3地区を分割し、高津区、宮前区を新たな第3地区、多摩区、 麻生区を第4地区として、現在の4採択地区と定めた経緯がございます。以上でございま す。
◆松原成文
 本市の教科書の採択地区でありますけれども、4ブロックに分かれてい るものの、小学校では図工、中学校では保健体育のそれぞれ1種目だけが第3採択地区の み他の地区とは違う発行者の教科書を採択しております。その他の教科、小学校10科目、 中学校14科目は4採択地区で同一発行者の教科書を採択しています。例えば小学校では、 国語、社会、算数、理科、書写、地図、音楽、家庭は昭和61年から今日まで約30年間、同 一の発行者の教科書を採択しておりますけれども、この件につきまして、市長及び教育長 の見解をお伺いいたします。
◎福田紀彦市長
  教科書についての御質問でございますけれども、教科書の採択について は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づいて教育委員会の権限でございます けれども、教育委員会が児童生徒に最も適した教科書を採択しているものと考えておりま して、結果的に同一の教科書が採択されているものと捉えております。以上です。
◎渡邊直美教育長
  教科書についての御質問でございますが、本市におきましては、採択 に当たり、平成22年度までは神奈川県の採択方針を準用してまいりましたが、平成23年度 からは、より一層の手続の公正かつ適正を期すため、本市独自の採択方針を定め、児童生 徒に最も適した教科書を採択してまいりました。採択方針では、教育基本法や学校教育法 の理念の実現に向け、学習指導要領との関連、内容等の観点を設け、最も適切な教科書を 採択すると規定しているところでございます。今後も、調査研究会や教科用図書選定審議 会等で調査研究、審議を行い、教育委員会がその権限と責任のもと、児童生徒にとって最 も適した教科書を採択してまいりたいと考えております。以上でございます。
◆松原成文
 ありがとうございます。市長も、教育長も、児童生徒に最も適した教科 書を採択したと言われておりますが、私はどう見ても、児童生徒より、教員が使いやすい 教科書が採択されているような感が否めませんので、御指摘をしておきます。 公立学校の教科書の権限は、学校を設置する教育委員会にあります。つまり4採択地区 に分かれていても、決定は川崎市教育委員会が責任を持って行うということからすれば、 全採択地区で同一発行者の教科書を採択することは著しく合理性を欠くということまでは 言えないと思います。しかし、一方で、各採択地区の特性に合ったものが選ばれているの か。つまり、地理的なもの、文化的諸条件を考慮し、採択地区ごとに適切な教科書を採択 しているかどうかという点からすれば疑問が残ると言わざるを得ないわけでございます。 選定の際、採択地区の特性に合っているかを勘案されたのか伺います。また、本当に地理 的、文化的諸条件を考慮し、採択地区ごとに適切な教科書を採択したと言えるのかお伺い いたします。
◎渡邊直美教育長
  教科書採択についての御質問でございますが、本市における教科書採 択の手順といたしましては、学校ごとに教科書の調査を行うとともに、調査研究会及び教 科用図書選定審議会において全種目の教科書について調査研究を行い、その結果を教育委 員会に答申しております。教育委員会では、この答申や独自の調査研究等をもとに審議を 行っているところでございます。審議に際しましては、各採択地区で行われている調査研 究会の中で、地区ごとの児童生徒の実態や地域の特色等も加味しながら、総合的に勘案し た上で採択地区ごとに教科書を採択しているところでございます。以上でございます。
◆松原成文
  採択地区の特性あるいは文化的諸条件を考える上で、一つの重要な材料 として、平成25年全国学力・学習状況調査の結果を取り上げたいと思います。既に結果は 公表されておりますけれども、本市の平均正答率は全国に対してプラスマイナス5ポイン トの範囲内で、文部科学省によれば有意差の認められないとする範囲内であります。当然 のことながら、これは市内全体についてでありますけれども、4採択地区、あるいはまた、 各7つの区ごとの平均正答率について伺います。あわせて、本市の独自の学力調査におけ る4採択地区及び7つの区ごとの平均正答率についても伺います。また、全国、本市の学 力・学習状況調査の結果についても、4採択地区、そしてまた、7つの区ごとの特性につ いての分析は行われたのかお伺いいたします。
◎渡邊直美教育長
 学力・学習状況調査の結果の公表についての御質問でございますが、 全国学力・学習状況調査の調査結果の公表につきましては、国全体の状況や国公立、私立 学校別の状況、都道府県や地域の規模等に応じたまとまりの状況は公表されておりますが、 4採択地区ごとや各区ごとの調査結果につきましては公表されていないところでございま す。本市の学習状況調査につきましては、全市的な規模で児童の学習状況を調査すること により、学習指導上の問題点及び改善点を明らかにすることを調査目的としておりますの で、全市における各問の正答率や意識調査の回答状況等を公表しているところでございま す。以上でございます。
◆松原成文
 それでは、今、公表はされていないということでありましたけれども、 そういった4採択地区あるいは7つの区ごとの結果というのは、公表はされていないけれ ども、あると理解してよろしいのでしょうか。
◎渡邊直美教育長
  文部科学省からの調査結果は公表されていないということでございます。以上でございます。
◆松原成文
 教科書を採択する上、あるいはまた、各地区の特性、7つの区の特性を 見る上では、どういった教科書が子どもたち、児童生徒に一番合っているかというものを 判断する基準はやっぱり必要ではないかと思いますから、ぜひとも7つの区あるいは4採 択地区等々についての傾向も調査していただきたいなとお願いをいたしておきます。 続きまして、13款1項2目、人権教育推進事業、教科書採択における人権教育的な観点 の重要性について御質問をさせていただきます。教科書の選定につきましては、人権教育 的な観点も重要な要素の一つであると考えておりますが、教育長の見解を伺います。
◎渡邊直美教育長
  教科書採択についての御質問でございますが、教科書は文部科学省が 作成する教科書目録に登載された教科書から採択することが原則となっております。本市 の採択におきましては、教科書そのものを教えるのではなく、教科書を使って授業をする という考え方のもとに、教科書に書かれている内容はもとより、本市の子どもたちにとっ て、いかにわかりやすい授業をつくることができるかという点も重視して、それぞれの採 択地区の児童生徒の状況や地域の特色に即した教科書の採択を目指しております。そのよ うな一人一人を大切にした授業づくりが人権を大切にした学びの場となり、本市の子ども たちにとって最も適した教科書を選定することにつながっていくものと考えております。 これらを踏まえながら、総合的に判断して教科書が採択されているところでございます。 以上でございます。
◆松原成文
 ありがとうございます。そうしますと、現在本市の小中学校で使用され ている教科書を採択する際にも、この観点は重視されているということでよろしいのでし ょうか。
◎渡邊直美教育長
  教科書採択についての御質問でございますが、現在小中学校で使用し ている教科書につきましては、子どもたち一人一人を大切にするという点に配慮し、本市 の子どもたちにとって最も適した内容であるか検討して採択されたものでございます。以 上でございます。