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■歴史的文化遺産の保存について
◆松原成文
 歴史的文化遺産の保存についてでありますけれども、川崎市では川崎市景観計画を策定し将来のまちづくりを想定してきましたが、川崎市域に受け継がれてきた歴史と文化については言及をされておりません。何ゆえ言及をされていないのか、その理由をお伺いいたします。人もまちも現在や未来は過去の蓄積の上に初めて成り立ちます。地域の自然、歴史、文化などから見て建造物の外観が景観上の特徴を有し、市民に親しまれている建造物や樹木を所有者の意見を聞いた上で景観重要建造物、景観重要樹木として指定するわけでありますけれども、これも今日までその指定が一つもございません。その理由及び今後の指定の可能性について、まちづくりの観点からまちづくり局長にお伺いをいたします。
◎まちづくり局長(田中敬三)
  川崎市景観計画についての御質問でございますが、初めに、歴史や文化につきましては、川崎市景観計画において理念として、地域の大切にすべき資源を発見し、調和させながら受け継ぐことが大切であるとうたっております。また、基本目標として、自然的資源や歴史的資源などの地域らしさを発見し、まとまりのある身近な街並みの景観づくりを目指すことを記載しております。次に、景観重要建造物及び景観重要樹木の指定についてでございますが、景観計画の指定方針に沿って建造物や樹木の所有者の意見を伺いながら個別に判断しておりますが、これまでは所有者が指定を受ける意向がなかったことなどにより行われませんでした。今後につきましては、文化財保護制度や他の類似施策との連携を強化しながら、景観重要建造物や景観重要樹木の指定に向け、適切に制度の運用を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。
◆松原成文
 ありがとうございます。  現在ですけれども、小杉御殿町遺跡の調査が行われておりますけれども、その調査状況と今後の保存等について教育長にお伺いいたします。
◎教育長(渡邊直美)
  小杉御殿町遺跡の調査状況等についての御質問でございますが、小杉御殿町遺跡は、徳川家康から家光までの3代の将軍によって利用された小杉御殿跡を含む江戸時代を中心とする遺跡でございます。本遺跡内では平成21年度からこれまでに8件の調査を実施しており、平成24年度に実施した都市計画道路丸子中山茅ヶ崎線、いわゆる中原街道の整備事業計画に伴う試掘調査では、近世初頭の溝状の遺構、近世末から近代初頭の土坑や溝状遺構、近世の陶磁器や瓦などを確認しております。また、平成25年度に実施した発掘調査では、近世初頭の溝状遺構の延長部分を確認し、遺跡がさらに広がることを確認しております。今後、平成26年1月から3月にかけて記録として保存するための発掘調査を実施するとともに、市民向けの現地見学会を行い、地域の歴史的文化遺産が市民の誇りとなり、かつ身近な存在となるよう努めてまいりたいと考えております。以上でございます。
◆松原成文
 ありがとうございました。  市長にお伺いいたします。市長は、市政への考え方の中で安心して暮らせるふるさとづくりを提唱し、川崎への深い愛情、最も幸せを感じるまち、子どもの笑顔と輝き、シニア世代の知識や経験を果実とし心温まる市民が主役のまちづくりを行いたいと強調されましたが、そのためには人々が太古よりとうとうと流れる多摩川のように悠久の時間に包まれ、抱かれ、感じながら日々を過ごすことが必要です。美しい街並み、歴史的なたたずまい、重厚で壮麗な景観は人間的な温かみのあるまち、ふるさとづくりには欠かせません。本市における歴史的文化遺産の保存に対する市長の所感をお伺いいたします。
◎市長(福田紀彦)
  歴史的文化遺産の保存についての御質問でございますけれども、本市におきましては、さまざまな歴史や文化を知る上で貴重な歴史的文化遺産がございますけれども、その存在が市民の皆様に十分知られていないと感じております。非常に残念であり、もったいないことだと思っております。こうした歴史的文化遺産を含む文化財をより多くの市民の皆様に知っていただくため、教育委員会が刊行しましたかわさきの文化財入門や文化財公開事業等を通じた効果的な情報発信を進めていくことが大切であると思います。現在、教育委員会では川崎市文化財保護活用計画の策定に向けて取り組んでおりますが、この計画に基づく文化財の保護活用は、文化財を心のよりどころとして地域の人と人がつながり、ともに学び、楽しみ、活動することで市民の皆様に川崎をふるさとと感じていただき、魅力あるまちづくりに寄与していくものと考えております。以上でございます。
◆松原成文
 どうもありがとうございました。