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■川崎市立小学校学習状況調査について
◆松原成文
 文部科学省は、8月27日、本年4月に実施されました小学校6年生と中学校3年生を対象とした全国学力・学習状況調査の結果を公表いたしました。それによりますと、基礎知識を問うA問題で改善が見られる一方、活用力を試すB問題に課題が残るという例年どおりの傾向だったとのことでありました。昨年度実施された川崎市立小学校学習状況調査の結果、学習指導上の問題点、改善点はどのように明らかになったのか伺います。また、児童の基礎学力向上にどのように役立てることができたのか、それぞれお伺いいたします。
◎教育長(渡邊直美)
  川崎市学習状況調査についての御質問でございますが、初めに、学習状況調査から明らかになった問題点でございますが、基礎的・基本的な知識や技能をはかる問題に比べて、自分の考えを述べるなど記述式の問題において課題が認められます。この課題を改善するため、学習指導要領に示されているように、日ごろの授業において基礎的・基本的な知識、技能の活用を図る学習や、自分の考えを周囲に伝える活動を取り入れることをより一層充実させてまいりたいと考えております。また、基礎的・基本的な知識や技能をはかる設問の一部におきましても、十分な定着が図られていないなどの課題が挙げられます。このことにつきましては、同一問題、類似問題を続けて出題することにより解答傾向の推移を把握し、指導方法の改善等に生かしているところでございます。なお、同一問題、類似問題を経年比較いたしますと、一定の改善が見られるところでございます。次に、児童生徒の基礎学力向上についてでございますが、各学校におきましては、自校の状況を把握し、指導の改善に生かすことや、各自の解答を添付した個人票を返却することで、各設問について児童生徒が間違えたところを確認し定着を図り、次の学習に役立てているところでございます。また、教育委員会におきましては、学習状況調査報告書において分析結果や授業改善プランを提示することや、学習状況調査結果説明会を開催し、明らかになった課題や指導方法の改善について解説するなど、各学校の指導の充実を図っているところでございます。以上でございます。
◆松原成文
 昨年度、私立中学校への進学率は全体の何%になっているのか伺います。また、進学率が最も高かった小学校の所在する区及び進学率が高い小学校の状況についても伺います。一方、進学率が1割未満の小学校は何校あるのか、及び進学率が一番低い学校の所在する区及び率をお伺いいたします。また、あわせまして5年前、10年前の私立中学校への進学率はどのぐらいだったのかお伺いいたします。
◎教育長(渡邊直美)
  私立中学校への進学率についての御質問でございますが、私立中学校への進学率につきましては、学校規模により母数となる卒業者の人数が異なりますので、人数の少ない学校では、進学者数のわずかな多寡によりまして率が大幅に変動する特徴がございます。平成24年度における川崎市立小学校卒業者のうち、私立中学校進学者の割合は16.9%となっております。最も高かった学校の進学率は幸区内の学校の53.2%となっており、進学率が3割を超えている学校は11校ございます。一方、進学率が1割未満の学校の数は29校となっており、最も低かった学校の進学率は多摩区内の学校の3.6%となっております。また、5年前の平成19年度における私立中学校進学者の割合は19.4%、10年前の平成14年度は18.2%となっております。以上でございます。
◆松原成文
 ありがとうございます。あと、区別の進学率についてもそれぞれお伺いいたします。また、その中で本市以外への進学率はどのぐらいあるのかお伺いいたします。
◎教育長(渡邊直美)
  区別の私立中学校進学率などについての御質問でございますが、区別の私立中学校進学率につきましては、川崎区11.3%、幸区18.3%、中原区20.7%、高津区16.5%、宮前区20.2%、多摩区10.8%、麻生区19.6%となっております。また、私立中学校への進学者のうち、本市以外の私立中学校への進学者の率は89.6%となっております。以上でございます。
◆松原成文
 いろいろ御答弁をいただきましたけれども、以上の結果、どのような背景があり、どのような要因があると考えていらっしゃるのか、見解をお伺いいたします。
◎教育長(渡邊直美)
  私立中学校への進学率の背景についての御質問でございますが、本市は私立中学校が比較的集中している地域に位置しており、通学圏内に児童及び保護者の一人一人のニーズに合った多様な中学校があり、そのため私立学校への進学率が周辺都市と同様の傾向を示していると考えているところでございます。公立中学校は、地域の商店や保育所等に御協力いただいている職業体験や地域人材を活用した体験学習等、地域に根差しているからこそできる教育活動等を展開しております。また、公立中学校には多様な個性や特徴を持つ生徒が在籍しており、それぞれの個性を認め合うことで、ともに生き、ともに育つ心を育んでおります。このように地域の温かな支援を受け、さまざまな個性を持つ生徒がともに成長していくことは、川崎のまちに誇りと愛着を持ち、川崎の将来を担う人材の育成につながるものと考えているところでございます。以上でございます。
◆松原成文
 ありがとうございました。私立も公立もそれぞれにいいところがあるというようなことでございましたけれども、意見要望を述べさせていただきます。文部科学省が4月に実施しました全国学力・学習状況調査では、県名を挙げて都道府県別の正答率を1位から最下位まで公表しましたけれども、公表の意味、教育的な効果は何だったのかよくわかりません。そもそもテストの結果は対象者を序列化するものではなく、学習指導上の問題点を明らかにして改善していくことにあります。今後も本市が実施しております学習状況調査及び学習診断テストの結果を、学習指導法の改善や児童生徒の基礎学力の向上に役立てていただくことを要望いたします。よろしくお願いいたします。