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■暴力行為、いじめについて

◆松原成文
 続きまして、教育長に暴力行為、いじめについてお伺いをいたします。まず初めに、暴力行為、いじめについて、平成20年度に比べまして、昨年度は小学校で64件減少し、92件となっております。これはまた、スクールカウンセラー、ソーシャルワーカー等々の相談体制が確立したもののあらわれではないかと思いますが、その件について、まずお伺いいたします。しかし、反面、中学校では82件増加して832件、高等学校では7件増加して21件となってしまいましたが、その要因等についてどのようにお考えなのかお伺いをいたします。


◎金井則夫 教育長
 暴力行為についての御質問でございますが、小学校で減少した要因といたしましては、巡回カウンセラーを全市で2名増員し、7名体制で児童の相談に応じていることを初め、保護者や地域と連携した学校づくりの推進、また、区役所のこども支援室と連携して、保健分野や福祉分野の専門家、スクールソーシャルワーカー等との連携による総合的なケア体制を進めたことが考えられます。一方、中学校では在籍生徒数が増加しており、暴力行為の発生率といたしましては横ばいでございますが、昨年度同様に、同じ生徒によって繰り返される事例も多くあるものと考えております。また、高等学校の発生件数は、平成17年度25件、平成18年度25件、平成19年度27件、平成20年度14件、平成21年度21件となっており、市立高等学校は5校による集計のため、長期的な視点からは大きな変化はなかったものと考えております。今後も暴力行為の未然防止や早期対応に取り組み、暴力行為が発生した場合は毅然とした態度で対応し、学校が家庭や地域社会と連携を図りながら解決していくための指導体制、協力体制の強化、改善に努めてまいりたいと存じます。以上でございます。


◆松原成文
 それでは次に、いじめについて、昨年度の認知件数についてお伺いをいたします。


◎金井則夫 教育長
 いじめの認知件数についての御質問でございますが、平成21年度文部科学省問題行動等の調査における本市のいじめの認知件数は、小学校54件、中学校290件、高等学校5件の合計349件となっております。以上でございます。


◆松原成文
 ありがとうございます。では、そのいじめについての認知件数のうち、ネットいじめについてはどのくらい認知されているのか伺います。また、このネットいじめについて、実態をどのような方法で把握されているのかお伺いをいたします。


◎金井則夫 教育長
 ネットいじめについての御質問でございますが、平成21年度文部科学省問題行動等の調査における本市の小中学校でのネットいじめの認知件数は、小学校1件、中学校27件でございます。ネットいじめの実態につきましては、児童生徒の相談等を受けて、掲示板やプロフィールサイト等、個人を中傷する書き込みの状況を調査し、実態の把握を図っております。また、各学校では、関係する児童生徒に対する指導や情報モラル教育を実施するとともに、一昨年度開設した川崎市インターネット問題相談窓口との連携により、削除依頼等の早期対応を図っているところでございます。以上でございます。


◆松原成文
 それではお伺いいたしますけれども、いじめ、暴力行為のない学校は本市において存在するのかお伺いいたします。


◎金井則夫 教育長
いじめ、暴力行為についての御質問でございますが、調査上においていじめの認知件数、暴力行為の発生件数がともにゼロと報告した学校は、小中学校合わせて52.1%となっておりますが、教職員が認知していない事例もあると考えられますので、いじめや暴力行為はどこの学校においても起こり得ることを念頭に、すべての教職員がみずからの問題と受けとめ、未然防止や早期発見、迅速で的確な対応の徹底を図っているところでございます。以上でございます。


◆松原成文
スカンジナビア圏の話なんですけれども、スウェーデンのいじめ防止プログラムの根底に、1つ目として、人間の攻撃性は管理監督するものがなければ発現すると。2番目として、攻撃性を制御するためには規律によるコントロールが望ましい。3番目に、ぶれのない一貫した指導を行い、罰によって規範の内面化を図る。違反した者には罰を適用し、罰への脅威によって攻撃性の発現を防止するとの考えがあるようでございますけれども、これについて見解を伺います。


◎金井則夫 教育長
 いじめ防止についての御質問でございますが、児童生徒指導にかかわる課題が多様化、複雑化する中で、児童生徒一人一人の規範意識を醸成し、社会的自立を進めていくことは重要な課題と考えております。本市におきましては、従前より教職員が一丸となって毅然とした粘り強い指導を行っておりますが、さまざまな問題を持ち、自己の力だけで正しい行動をとることができない児童生徒もおりますので、事態が改善されないときには教育上の配慮から懲戒が必要となる場合もあると考えております。日本における公立の義務教育諸学校の懲戒は、児童生徒の学習権を保障するとともに、保護者の就学義務との関係から、注意、叱責、居残り、起立、文書指導、別室指導、訓告などがありますが、当該児童生徒の発達段階、健康状態、時間や場所などの諸条件を考慮し、児童生徒の規範意識の醸成につなげていきたいと存じます。以上でございます。


◆松原成文
 いじめは当事者だけでなくて、すべての子どもたちの共通する課題であるとの認識が大切であり、学校生活やその環境をよくするため、子どもたちを参画させるということについて教育長の見解を伺います。また、保護者の協力態勢、具体的には保護者が休み時間に校内や遊び場を見守るプログラム、これは保護者を参画させ、家庭と一体となって学校を運営することを意図したものであると思いますが、伺います。また、日本では特別支援教育が制度として始まったばかりでありますけれども、いじめとの関係について、対応策を含めどのような研究が進んでいるのかお伺いをいたします。


◎金井則夫 教育長
 いじめ問題への対応についての御質問でございますが、児童生徒が過ごしやすい学校環境づくりに自主的、主体的にかかわることは、教育的にも非常に重要なことであると考えております。また、保護者の参画につきましても、地域に開かれた学校づくりを推進する中で欠かせないものであると考えております。本市におきましては、平成14年度から全校に設置されている学校教育推進会議に、保護者、地域住民や教職員とともに、他都市に先駆けて児童生徒が参画しております。また、平成20年度から全校で実施されている学校評価においても保護者や学校関係者の評価が導入されております。
  いじめや暴力行為等、児童生徒指導上の課題につきましても、このような取り組みを通じて家庭や地域と一体となり、子どもたちが安心して学び、健やかな成長をはぐくんでいく学校づくりを推進してまいりたいと考えております。また、特別支援教育といじめとの関係につきましては、さまざまな研究が進められておりますが、障害のある児童生徒が周囲の無理解によっていじめの対象となることなどのないよう、教職員の指導力向上を図る必要があると考えております。以上でございます。


◆松原成文
ありがとうございます。文部科学省の調査では、いじめの発生率の高い学級では、正しいことが正しいこととして通らない、正直者がばかを見る、先生が子どもたちにおもねる、こういった傾向が見られたとのことでありますけれども、学校の秩序や教師の威信に揺らぎはないのか伺います。


◎金井則夫 教育長
 学校の秩序や教師の威信についての御質問でございますが、学校の秩序が保たれることは、児童生徒が安心して学び、伸び伸びと楽しく過ごせる学校環境づくりに欠かせないものであり、保護者や地域の信頼に大きくかかわりますので、いじめ問題への適切な対応は極めて重要なものであると考えております。今後とも、いじめ問題や暴力行為等に対する毅然とした指導の徹底を図り、保護者や地域に信頼される学校づくりを推進してまいりたいと存じます。以上でございます。


◆松原成文
 ありがとうございました。6月に大変悲しい事件がありました。多摩区において、中学3年生の生徒が大変悲しいことになってしまったわけでございますけれども、聞くところによりますと、その遺書の最後には、岡田以蔵、人斬り以蔵という人が昔いたんですけれども、その辞世の句が引用されていたと私は聞いております。この辞世の句というのは「君が為 尽くす心は 水の泡 消えにし後は 澄み渡る空」と、すべての思いが水の泡のごとく消えてしまったということでございます。
  生徒全体への通り一遍の教育的指導ではなくて、被害を受けた者あるいは加害者、両者への直接的な指導を持ち、学校が一体となって、一丸となってこの問題にさらに取り組んでいただきまして、いじめ、あるいはまた暴力行為がなくなるように、少なくなるように今後とも御努力いただきますようお願いをして、質問を終わります。